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バニラ味















きーんこーんかーんこーん



救いの鐘(?)が鳴ってくれたおかげで

俺は無事、百人ものスイマー(睡魔)から逃れることができた

現在の時間は備え付けの時計を確認

見れば4時間目がちょうど終わったところであった



「・・・って昼休みじゃないか」



と言うことは俺は2時間目からずっと寝てたという事になる

今更ながら俺の身体の中には寝雪と同じ血が流れていることを実感してみたり



「・・・・さてどうするかな?」



辺りを見回しても北川と香里の姿は無い

おそらく見捨てられたのだろう

食堂の席をいち早く確保しようと思うのならば1秒たりとも待てるはずがないからな



「さてどうしたもんか」



腕を組みながら唸るようにして考えてみる





1.今から食堂にダッシュ



論外





2.購買に行ってパンを買ってくる



コッペパンしか残ってないので嫌だ





3.佐祐理さんに弁当をせびる



確か三年生は午前放課だから居ないので残念ながら却下





「残りは・・・・」



言葉を漏らしながら曇っている窓を軽く拭き外を眺める



「誠に残念ながらプラン4に決定」











    *   *   *











「生きてるって素晴らしいですねぇ〜♪」



晴れた空の下

白銀の絨毯敷き詰めて

冷たく甘くとろけるお菓子を食べよう



「・・・・いつもの事ながら良く食えるなそれ」

「バニラアイスは別腹ですから」

「いや・・・答えになってない」

「いいんですよ。バニラアイスはバニラアイスだからこそバニラアイスなんです」



どうやら彼女はバニラアイスの取りすぎで言語中枢が麻痺しているようだ

このくそ寒い忌々しい空の下

俺は

何が悲しくて寒い中寒いモノを食す

胸が寒い人物を見なければいけないのだろうか?



「む!祐一さん、今よからぬことを考えていましたね?」

「何のことだかさっぱりですね」

「ほほう・・・あくまでしらを切るつもりですね?いいでしょうそこまで言うなら証拠を見せてあげます」



“証拠見せろ”なんて言った覚えが無い

どうやらこいつはバニラの摂取過多のせいで言語中枢どころか記憶中枢までもハングアップしてしまったようだ

まぁ・・・・密かに俺もその“証拠”とやらに興味を持っているのだが・・・



「で?その証拠とは」

「祐一さんは自分でも気付いていないでしょうが祐一さんが何かよからぬことを考えている時は必ずと言っていいほど眉間に皺が寄っているのです!」



今解ったことが一つだけある

こいつは正真正銘のバカだ

もしこいつがバカじゃなかったら

こいつが食っていたバニラアイスが実はバニラアイスでは無くて

宇宙から飛来した謎の生物だったとか

もしくは謎ジャ――げふんげふん・・・だったりするなら話は別だが



「そういうわけで罰として祐一さんにはバニラアイスを今この場で食べてもらいます」

「俺に死ねと?」

「バニラアイスは劇薬じゃないですし食べても三日三晩死の淵を彷徨うことなんてありません・・無論謎ジャ○でも無いです」

「・・・・なぜお前が邪○を知っている」

「・・・・ご存じですか?今の科学技術で直径1センチ程度の盗聴――――」



俺は世迷い言を吐いているはた迷惑な人物の口を塞ぐ

同時に「帰ったら家捜ししてやる」と心の中で誓う



「ぷはっ!・・・今はそんな事は関係ありません!!絶対アイスを食べてもらいます!」



俺の拘束を振り払った彼女は

どうやら怒りゲージのマックスを突き破りスタンピート状態になったようだ(別名ハイパー化)

こうなったら俺に取るべき手段は無い

さて・・・どうする?



ここで俺がとった行動は――――――――――







「なぁ?栞・・・アイス食べてやってもいいけどその前に一つ頼みたいことがあるんだ」

「なんですか?」

「一口アイスを食べてもらいたい」

「なんでそんな事を?別に毒なんて入っていませんよ?」

「いいから」

「はぁ・・・・・」

「どうだ?」

「はい。甘くて美味しいです」

「ホントに?」

「当たり前です・・・はい祐一さんもどうぞ」

「わかったよ」

「やっと祐一さんもバニラアイ――――ん!?」

「おう・・・確かに甘いっすね」

「ちょ、ちょちょちょっと祐一さん!!!いきなり何をするんですか!!」

「ふっ・・・何ってバニラアイスを食しただけさ」

「これはバニラアイスじゃありません!」

「じゃあバニラ風味の栞と言うことで・・・うん絶品だ。美味かったぞ」

「もう知りません!!」



そんな彼女を見ながら

俺は空を振り仰いだ





ああ・・・・今日もいい天気だなー









追記









俺の従姉妹こと名雪は昼休み中ずっと寝転けてたようだ

なんかみんなでお昼を食べている夢を見ていたようで

「もう苺は食べられないよ〜」と言う寝言を残して

晴れて生徒指導室に連行されたそうな











終わり









後書き







今回は無し

今回は自分でも珍しい栞SS