〜黒狼〜







大陸歴 1939年



後に、『大戦』あるいは『聖戦』と呼ばれた戦乱が勃発。



人類は魔物との生存権を賭けた戦いを強いられることになる







大陸歴 1948年



人類側劣勢



この状況を打破するため人類側最強の戦士達



『聖騎士団』を設立すると同時に



魔物の本拠地とされる『最果ての域』へ団を派遣する







結果



惨敗







僅か10人にも満たない生き残りの証言によると



金と銀の狼が騎士団を襲撃したと言うのだ



この時、一名の隊員が行方不明となる







大陸歴 1949年



『聖騎士団』を再編した人類は再び『最果ての域』へと団を派遣した



そこで騎士団のメンバーは恐るべきものを見たというのだ



団長の証言によると



黒い狼が金と銀の狼と戦っていたと言うことだ



更に黒い狼に付き従うかのように少女が一人居たという報告を受けている



その報告はどれも曖昧なモノだったが



人類最強の聖騎士団のメンバーに『恐ろしい』とまで言わせた戦いだ



きっと私の様な学者にはとても想像できない恐ろしいものだったに違いない。







その2度目の騎士団派遣の後



魔物も



あの狼たちも姿を消してしまった



そう・・・・



あたかも全てが幻だったかのように























大戦はひとまず終局した



だが我々は更なる問題に直面してしまう



忘却



そう忘却だ



何もかもが思い出せないのだ



大戦以前の事は全て







おそらく



これは罰なのだろう



恐ろしい兵器を使用し



世界を汚してきた我々への







この本を読んだ今だからこそ言えることなのだが



そう・・・・・古い物語だ。



神とそれを守護する三匹の獣の・・・・・























昔々、世界の果てに三匹の大きな狼が居ました。



それはこの世界を創造した神様を悪い魔物から守るためでした



金色の狼はその瞳で睨み



白銀の狼はその口で吼えるだけで



悪い魔物を退治していきました。



ですがもう一匹の黒い狼は他の二匹の様に強くはありません



でも黒い狼にとってそんなことはどうでも良かったのです



黒い狼には神様から特別に授かった力があったから



他の二匹には内緒の特別な力が・・・・・・







神様を守り続けて気が遠くなるほどの時が過ぎたある日のこと



突然、金と銀の狼が神様を殺してしまったのです



黒い狼は言いました



「何故こんな事をしたの?」、と



二匹が言いました



「お前こそ何故人間に味方する神を殺さなかったのか」、と



二匹の言ったとおりでした



当時、世界には『人間』と呼ばれるモノが存在していて



悪いことばかりしていました。



でも、そんな人間を神様は必死になって助けようとしていたのです その事を言った矢先の出来事でした。



「人は悪いことばかりする、だから私達は人間を滅ぼす」



そう言って二匹の狼は黒い狼の前から姿を消しました。







後に残った黒い狼はどうする事もできません



黒い狼は悲しい気持ちのまま



神様の所へ行きます



でも神様はもう動きません



黒い狼は悩みました



これからどうすればいいのかを



あの二匹の様に人間を滅ぼす?



それはできません



人間には悪い人もいればいい人だっていることを



黒い狼は知っていたのですから



そうして黒い狼が悩んでいると



「そうだ」



ふと、思い出したことがあったのです



自分には神様からもらった特別な力があることを



もしかしたら



あの二匹を止められるかもしれない



そう思った黒い狼は急いでそこから飛び出しました



他の二匹を止めるために



力を使うために必要な『汚れ無き魂』を持つ



あの子に会うために・・・・・・























後書き







祐一の旅改討版プロローグT

改討版は前のと違い設定を複雑にしました。

基本的にシリアスを目指します