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・・・・コツッ  




男達は足音がしたほうに目をやる。  


するとそこには隠れもせず真正面を切って歩いてくる二人。


祐一とフラノールだ。


「ここからは私有地だ。関係のない者はお引き取り願おうか?」


睨みを利かせ祐一達を見る


コツ・・・コツ・・・  


「・・・・もう一度言う。即刻に立ち去れ」


カチャ


男達は懐から黒光りする拳銃を抜き放ち照準を祐一達に向けた。


「・・・・悪いが通してもらう」


――――空間偽装解除  
        六之剣〈疾風〉解放――――


しゃぁぁぁぁぁん!!


銀光一閃。


虚空より突如現れた銀の軌跡は男達が構える拳銃を


斬った。


「なっ!!?」


男達はそれぞれ綺麗に断ち斬られた銃の断面を見て驚きを抑えられなかった。


「全員散開!!」


リーダー格らしき男の言葉に五人居た男達は祐一達から距離をとる


「どうやらその辺のチンピラとは違いますね」


祐一の横に居るフラノールが小さく呟いた


「まぁ・・・大して差はないですが」


フラノールの言葉にも男達はぴくり、とも動かずにただ祐一達を睨みつける


「――――――シッ!!」


突如
男の一人が祐一を目掛けてナイフを右腕で横に薙ぐ。


キィィィィン!


火花が散り、それを受け流し祐一はそのまま後ろにふわり、と跳んだ。


「・・・・へぇ。あいつら結構やるぞ?」

「それでも対処できないレベルでは無いでしょう?」


フラノールは涼やかに言葉を紡ぐ


「さっさとかたづけて――――――――帰りましょう」

「あいよ」


祐一が刃を一閃させた。





















    
――神の流れを持つ者メビウス――

     中編








     4/








時間は少し遡る。


「水瀬秋子、当時17才で現在は行方不明・・・表向きにはそうなっています」

「だが・・・そうじゃなかった」

「はい・・・」


2人の間に言い様のない空気が流れた


「そして、水瀬秋子の妹にあたるのが水瀬名雪・・・と」


祐一は苦々しく思いながら


フラノールが持ってきた追加資料と任務を受ける際にもらった資料を見比べる


「現在、水瀬名雪はバイトしながら一人暮らし」

「ええ。ですが水瀬名雪の魔力はそう高くありません」


魔力が高くないので誘拐される恐れもないフラノールはそう言いたかった。


「魔力が高くないお陰で助かった・・・か」


自嘲気味に祐一が薄く嗤い
突然、その瞳を窓と玄関の方へ交互に向けた。


「―――――祐一」

「解ってる。6・・・いや5人か?」


祐一は腰を低く落とし眼を静かに瞑る


「フラノールは窓の2人。俺は正面の3人をやる」

「・・・・」


フラノールは無言で頷く


がしゃあああああああん!!


窓が破砕する


だがそれよりも速くフラノールは空中に手を踊らせ

             
――――術式高速起動。拘束術式一番展開【駆け抜ける閃刃】


窓を破砕させた人物達は手に持った凶器―――銃を構える


だが


「遅いです」


――――解放。


虚空に浮かぶ術式方陣―――『向こう』の世界から溢れ出た余剰なエネルギーの事―――から膨大な光が生まれ、煌めき


その光条は眼前の人物達を紙の様に貫いた。













ガァン!!


轟音と共に扉がくの字になって千切れ飛び


向こうから武装した男達が侵入してくる


(素人だな)


祐一は、ほくそ笑みながら玄関に通じる通路に身を投げ出した


同時に


――――空間偽装解除
       参之剣〈無界〉解放――――


手を伸ばした虚空より一本の太刀が生じ


それを抜き放つ


ドォォォォォォォォォン!!


侵入してきた男達が撃ち出したグレネードが祐一に直撃


男達はこの瞬間、勝利を確信した。


グレネードの直撃を受けたのだ、普通の人間なら間違いなく死んでいる


あくまで普通の人間の話だが――――


「いきなりグレネード撃つか?普通」


煙の向こうから祐一の何ともなさそうな声が響いた


「まっ・・・まさか!?」

「生きているだと!?」

「人間か!?」


同時に男達の狼狽する声も響く


「今は普通の人間だよ。それにちょっと変わった魔法具持ってるだけだ」


煙が晴れると刀を構えた祐一の姿があった


だが


その刀からは虹色の光が祐一を護る様に溢れ出ている


「さて・・・覚悟は良いか?」


瞬間、祐一は殺氣を一気に解放する


ドォン!!


構築物の建材が祐一の氣に耐えられずギシギシと耳障りな音を奏で―――


「まぁ・・・殺しはしない。安心しな」


ヒュッ!


自分の眼前に迫り来る銀の凶器


それが男達が視た最後の瞬間であった。










      5/









――――術式起動。拘束術式一番二番展開【介入する天使の指先】解放――――


虚空に術式方陣が生じ、そこから溢れ出た光がフラノールの右腕にまとわりついた。


「よし・・・やってくれ」


祐一の言葉に無言でフラノールは頷く


そして、縛り上げた男達の頭を一定時間順々に触れていく


すると、彼女の右腕を包んでいた光は霧散するように消えていった。


「で・・・どうよ?」

「どうやら目標の人物が放った刺客のようです」

「ふーん。それにしても何処から情報が洩れたんだろうな」

「大方、昔の地位を振りかざして脅迫でもしたのでしょう」


フラノールは「信じられません」、と呟きため息を漏らした。


「まぁとにかくだ。居場所もバレてるし今度はこっちから行く」







そして話は冒頭に続き――――――























「・・・・面倒くさい」


銃撃の嵐に晒されながら、何とか瓦礫を盾にしている祐一達が居た。


「そんな事を言っている暇があったら牽制でも何でもして下さい」


言葉の内容とは裏腹にフラノールの語調は相変わらず起伏が無い


「いやさ・・・俺って飛び道具とかってあまり好きじゃないんだ」

「なら・・・囮になるとか、盾になるとか、特攻でもやって下さい」

「いやいやいやっ!!どちらにしろ死ぬだろそれは!?」


などと言っている間にも銃撃の嵐は更にその勢いを増していく


「ちっ!・・・仕方が無い。非常に、面倒だが、少し、本気で、仕方なく、やってやろう」


わざと一字一句区切るようにして何かを強調している祐一


だが、フラノールはそんな祐一を見ても「早く逝け」とばかりに凝視するのみ


祐一はそんな彼女に恐怖を感じながらもゆっくりと立ち上がる


そして


彼はスイッチを切り替えた。


――――空間偽装解除
        八之剣〈殺滅天昇〉解放――――


その数秒後


元政府関係者―――久瀬浩介の屋敷は人間だけを残し、他全てが虚無へと還っていった・・・



















「はぁはぁはぁはぁっ」


その男は死に物狂いで山中を駆けていた。


嫌な予感がしていたのだ


自分をつけ狙うバカな人間が居る・・・最初はそれだけだった


だが、街中に突如として溢れ出たあの空気


身も凍るような殺氣に男は覚えがあった。『アイツら』の空気、『アイツら』が共通して持つ


あの空気


そして始末に向かわした人間の未帰還と同時に起きた館への侵入者


理解した。


男は理解したのだ。


自分を狙う人間の正体が


『アイツら』の内、誰かが自分を殺そうとしているのだと


『黄昏の空』か?『終焉奏者』か?それとも『九つ剣』か!?


男は恐怖に駆られ、館から逃げ出す。その瞬間に館が消滅し


世界が砕けた―――――――――


とてつもない衝撃と余波が辺りを揺るがす
途方も無い衝撃に関わらず、眼下に広がる街並みは何の変わりもない


もしも、男―――久瀬浩介に魔法士の才能があれば気付いたであろうか?


街を包む結界の存在に


もしも、今ここで久瀬浩介が恐怖から立ち直れば気づいただろうか?


すぐそこまで迫り来る


死神―――相沢祐一の存在に









         6/








「ここまでくれば・・・」


そう言葉を漏らしながら久瀬浩介はその白い建築物の扉の様な場所に手をついた。


久瀬は横にあるパネルを開くとある文字を入力する


瞬間


音もなく扉は開き、久瀬は安堵の息と共に白き建築物の中に入った。


建築物の中は薄暗く、辺りを照らすのは非常灯のみと言う悪状況


だが、久瀬の足取りは軽く迷いがなかった。


「ふははははは!!見てろよ『メビウス』の化け物め!あれで跡形もなく殺してやる!」


安全な場所に来て感情の枷が外れたのか


今までの怯えた表情から一転し、喜びに似た表情を浮かべている。


そして、久瀬はとある一室に入った。


その部屋は奇妙の一言だった。


剥き出しの太いコードが辺りを埋め尽くし、わけのわからない機械がひしめき合っている


しかし、その中で一際その部屋の奇妙さを印象づけている物体があった。


――――卵


そう表現するしか無い白い物体が辺りを埋め尽くすコードの頂点に鎮座していた。


「ふん、忌々しい水瀬秋子め」


そう呟くと久瀬は近くに散乱していたケースの一つを掴み、テーブルに上げた。


「これさえ、これさえあれば『メビウス』の連中も敵では無い!!そして『メビウス』を消した後には、私が『ナイツ』のNo.1となるのだ!!」







「なるほど・・・そう言うことか」


不意に久瀬の後ろから突き刺すような声が響く


「ひっ!!?」


久瀬はケースを握りしめて振り返り


その顔を更に醜く歪めた。


「よう。久しぶり・・・5年ぶりかな?」


そこに居たのは祐一とフラノールの2人


「こっ!・・・『九つ剣』か!?」


久瀬が怯えた様な声を上げ、後ずさりをする


「覚えていてくれたとはね・・・・」

「祐一やはり5年前に始末しておくべきでした」


祐一の横でフラノールが冷たい口調で吐き捨てるように呟いた。


「そう・・・だな。今度は逃がすつもりは無いさ」


そう呟くと同時に殺氣を解放


これにより久瀬は殺氣に当てられ全くと言っていいほど身体動かないはずだ


「あ、ああああああ!!」


だが久瀬は壊れたように叫ぶとケースをこじ開けた。


「巫山戯るなよ!!『メビウス』の化け物め!!貴様などこれさえあれば恐れるに足らない!!」


久瀬はケースから腕輪の様な物体を取り出し自らの腕にはめる。


「ははっ!!これで貴様らは終わりだ!!」


久瀬は腕輪をはめた方の腕を祐一達に向けるが、当の祐一達はその光景を馬鹿馬鹿しく見ていた。


「貴方はバカですか?そんながらくた一つで私達を倒せるとでも?」

「以下同文」

「ふふ・・・粋がってるのも今のうちだ!。これは魔法が使えない人間でも擬似的に使えるようにする魔法具なのだ!!それも威力は通常の3倍――――――」


ピッ


何かが久瀬の頬の脇を通過し一筋の血が流れ出た


「いかに力が強くても、全力を出させなければどうと言うことはありません」


そう答えたのは両腕の先に術式方陣を展開しているフラノールだった。


「さぁ・・・覚悟は良いですか?」


フラノールを中心として強烈な風が吹き荒れる!


「破ッ!!」


刹那


祐一はフラノールを護るように前へ出て腕を突きだした!


キィィイイイン!


異音


ソレ――――ナイフは、かん高い悲鳴を上げて床に転がり落ちる。


「誰だ?」


祐一はナイフが飛んできた暗がりを殺気を纏った瞳で凝視した。


「いいねぇ・・・その殺気。ゾクゾクするぜぇ」

「お前は!?」

「おお、久瀬の旦那。俺はこいつを殺せばいいのかい?」

「そっ、そうだ!そいつはあの『メビウス』の『九つ剣』だ!!」

「ここのつけん?へぇ・・・あの化け物揃いの」


男はナイフを口元へ引き寄せ軽く一舐めする


「じゃあ久瀬の旦那。ここは任せて旦那は逃げな」

「たっ・・・頼んだぞ!」


久瀬は叫び声の様な情けない声を上げると奥の部屋に消えていった。


「ちっ」


祐一は軽く舌打ちし、フラノールに言った。


「お前は久瀬を押さえろ」

「了解です。祐一」


祐一はフラノールが久瀬を追うのを確認すると眼前の男を視る


「・・・何故。あの男の下に付いている」

「別に俺は強いヤツと戦いたいだけなんでね」

「この戦闘狂め」

「いいねぇその例え方ブルブルくるよ。さぁ・・・始めようぜ」


2人は無言のまま向き合い――――



――――空間偽装解除
        壱之


「おっと!!獲物は出させねぇぜ!!」


空間から自分の武器を取り出そうとしていた祐一であったがそれを眼前の男に邪魔をされる


そもそも祐一が使う空間偽装は『向こう』の空間から『こちら』の空間に物質を移動する際


若干のタイムラグが生じる


それも1秒に満たない時間ではあるが眼前の男の様な実力者の場合


その若干のタイムラグが命取りになる場合もある・・・


「くっ!?」


暴風の様に迫り来るナイフを祐一は全て紙一重で回避する!


祐一は大きく後ろへ跳び、男との間合いを稼いだ。


「おもしれぇ!!おもしれぇぞ!!『九つ剣』!!!獲物が無くともこの強さ!流石」


祐一は答えず


自ら離した間合いを一気に詰める!!!


「――――シッ!」


左順突き。男は頭を横にずらし回避


祐一はまた少し間合いを詰め、詰めながらタメを利かせた右逆突きを打ち出す


ギィイイイン!!、と異音が鳴り響く

男は持っていたナイフで祐一の拳打を受け止めたのだ


だが、祐一の拳にはキズ一つ無く


変わりに男の持っていたナイフの方が幾多にもヒビが入っていた。


男は片方の手に持っていたナイフを横に薙ぐ


しかし、祐一はすぐさま右を戻すと頭を素早く後ろへ動かしそれを回避しつつ


右中段回し蹴りを打つ


「ぐあっ!!」


男はくぐもった悲鳴を上げ体勢を崩した


それを祐一は見逃すはずもなく、すかさず渾身の右鉤突きを放った。そのまま男は吹き飛び地面へ二転三転しながら止まる


「・・・・」


祐一は睨みつけるように動かない男を凝視する。まるで男が立ち上がってくるのを確信しているかのように・・・


「・・・効いたぜ『九つ剣』よぉ」


ふらり、と男が立ち上がる


「第二ラウンド・・・開始だぜ!!」


男はそう叫ぶと持っていたナイフを構え、上体を思いきり丸めて祐一に向かって突進してくるが――――――


「悪いがこれ以上お前につきあってる暇はないんだ」


祐一はそれに合わせて右膝を突き上げ
それは男の肩口に突き刺さり、男の動きを止めた。


「じゃあな」


そしてそのまま祐一は思い切り右足を振り抜く――――――


ドォオオン!!


轟音


男の側頭部に祐一が放った右上段回し蹴りが炸裂したのだ。


男の身体は横ざまに吹っ飛び、壁に幾つかの亀裂を残しそのまま動かなくなった


おそらく死んではいない――――――多分


頑張ってリハビリすれば日常生活程度にまで復活するできるかもしれない


「・・・・ったく。余計な時間を使ったな」

そう呟くと同時に身に纏っていたモノ――――魔力を霧散させる


祐一は大気中に存在する魔力を操作、強化していたのだ。


そうでなければナイフを生身の腕で受けるようなマネなど出来ない


「さてと・・・。ここの施設でも破壊しますか」


――――空間偽装解除
       八之剣〈殺滅天昇〉解放――――


ブゥウン


音と共に祐一の手に一振りの剣が現れる


祐一はそれをしっかりと握りしめ――――




 




それは起こった。







計器が暴れ狂い、コードは千切れ飛び、部屋の中は白煙に包まれ


まるで花のつぼみが開くように


コードの上に鎮座していた卵のような物体が一枚一枚剥がれていく


そして最後に残ったのは膝を抱えるように眠っている裸体の蒼髪の少女











――――――――水瀬秋子だった




          







続く








後書き



長くなったので途中で切りました。
駄文ですがもう少しおつきあい下さい