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彼女は回想する








当時、私はまだ六歳だった


多分どこにでもいる普通の少女だったにちがいない


変わっていることと言えば


ただ、人よりほんの少しばかり優れていたために聖王国の学院に行っていたことぐらい











そう・・・・あれは24年前の事だ


その時私は運が良かったのだろう


家族、兄や仲の良い姉のような存在に見送られ街を出た直後


あの途方もなく


私の全てを壊した


ある意味『死』が訪れたと言っても過言ではない





聖騎士団に保護され


ただ毎日を空虚なまま過ごした


そして


その時の私にとって一番あって欲しくなかった事が起きた


そう


街の消滅という最悪の結果が








それからだ


私が変わったのは


学院の全行程を一年で修了し


聖騎士団に入団した


当時7才の子供が・・・だ





今思うと何であんな事をしたのだろうかと自問する日もある





だが


入団してからの私には地獄の様な日々が待っていた。


血反吐を吐き


動かない身体に鞭打ち


涙を流しながら訓練に明け暮れた





そして時は流れ


聖騎士団副団長として


私は今、ここにいる。











〜黒狼〜











第五幕











地平線の彼方から太陽がその輝きを伴い姿を現す


同時にそれは長く苦しい夜に終わりを告げるモノでもあった。


朝日が辺りを照らし始める頃


ジュライシティの外に仮設されたテントの前に三つの人影


祐一とあゆ


それに舞の三人である


「・・・あなた達のおかげで真宵は助かった。・・・感謝する」


舞はそう呟くとぺこりと頭を下げた


「いいんだよ別に当然のことをしただけだから」

「そうでもない・・・あの時あなた達が来てくれなかったら私達は死んでいた」


舞は空をまぶしそうに見つめながら語る


「・・・・・・あゆ」

「うん・・・わかってる」


今まで一言も喋らなかった祐一が呟くように言った


「・・・・舞さん。ボク達そろそろ行かなきゃ」

「もう?」

「うん・・・ボク達にはやらなきゃいけないことがあるからね」

「そう・・・・・・」


舞は残念そうにあゆを見つめた


「大丈夫!また何処かで会えるよ・・・・きっとね!」


何の根拠も無い、ただの言葉


だが舞にとってそれは嬉しく思えた


「・・・あゆ、祐一また何処かで」

「うん!・・・またね!!」

「元気でな」


そう言い残し


名しか知らぬ正体不明の旅人達は朝焼けの向こうに


土煙をあげ消えていった・・・・。





二人を見送った後


舞はテントに戻ろうとするが


少し気になることがあり


その足を止めた。





そう


祐一の持っていた銃のような武器


あれを確か何処かで見た記憶が――――――


「隊長!!!」


他の場所に張ってあるテントから団員が声を上げ


舞の思考はストップした


同時に考えていた事も忘れる


「何?」

「ちょっとこちらへ!」


声を張り上げる団員の側に歩いて行くと


「これは?」

「ごらんの通り、武器弾薬のほとんどがありません。おそらくさっきの二人組かと」


その言葉に舞は眼を見開き


二人が消えていった方向を見る


(・・・・・なるほど)

「隊長・・・追いますか?」

「いや・・・別にいい」

「い、いやそれは・・・」

「上には私が報告しておく・・・あなたは気にしなくてもいい」


舞がそう言うと団員(備品係)は、「ほっ・・・」と胸を撫で下ろした


「・・・・・・今度見つけたら請求書を叩きつける」


そう言うと


舞は口元に笑みを浮かべた・・・。











       *  *  *











ブロロロロロロ・・・


あぜ道を車が走る


車上には二人の人影


「・・・・ホントに良かったのかなぁ」

「俺たちの働きに対しての正当な報酬だと俺は思う」

「でも・・・・流石に無断で持ってきたから舞さん怒ってるよきっと」


そうあゆが呟くと


沈黙があたりを支配した


「・・・それよりあゆ・・・なんかあっただろう?」

「・・・うん」


祐一の言葉にあゆは頷く


「で?何があった」

「銀に会った」

「・・・・そうか」

「あいつらはまた何かを企んでる・・・また人が死ぬよそれも大勢」


祐一はハンドルを握りながら思う


この20余年間一度も姿を現さなかった魔族の再出現


それに伴う あいつらの不穏な動き


どれもこれもあの時と同じだった。


考えられることはただ一つ


「・・・・最悪だな」


祐一は頭を空へと振り仰ぎ


「・・・・『大戦』の再来――か」


そう呟いた彼の言葉は


虚しくも空高く消えていった・・・・・。














続く





後書き


今回は話の繋ぎ

いわゆるインターミッション的なお話



さて次からは今まで出てこなかったKanonキャラが出ます

おそらく美坂チームの面々かと・・・・

それでは

また次回



2004/01/29 アーティ