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それは目覚めた


長く長くとても気の遠くなる時を経て


それは空腹だった


長い間眠っていたせいかとてもお腹が減っていた。


とりあえず近くをうろついていた、動くモノを口に入れ咀嚼する


ゴキッボリッベキッ


それの口からは動いていたモノの骨が折れる破砕音と、動いていたモノ自身の体液が溢れ出ていた。


足りない


とてもこんな量では足りない


それは辺りを見回し


歩く


緩慢な動き


腕で樹木を薙ぎ倒す


その横で何かの音


それは音のした方へ首を向ける


そこには地べたを這いずり回り、顔を恐怖に醜く歪め、雑音を上げている取るに足らない脆弱な生物


それは思い出した


何年


いや


何百年とも思える昔のことを


そうだこいつらの名称は確か――――――――


それは濁った思考に浸りながらも


地べたにうずくまっている生物を無造作に掴み


咀嚼した。





雑音


それの口から雑音のようでそれでいて音楽ともとれる音が響く


バックコーラスは何かが破砕する音と共に


どこか音程がずれたホンキィトンク


それの口の中には懐かしい味が広がっていた。


これを食べるのは久しぶりだ


それは口の中のモノをかみ砕きながら更に森を歩く


それがしばらく森を歩くと、開けたところにでた


眼前には雄大な空が広がり


天には生きとし生けるもの全てに恵みを与えてくれる太陽


そして眼下には











それは口を不気味に歪めると咆哮をあげ街へと向かっていった・・・・・














数日後


聖王国の聖騎士団本部にある通達がなされた


『ジュライシティの住民全員がその消息を絶った』と




















〜黒狼〜





第一幕











聖王国の王城近郊に存在する聖騎士団詰め所

そこの副団長室にその人物は居た。

青い髪を三つ編みにして纏めて右肩にかけ流している女性

女性はずれかかった眼鏡を人差し指で直すと

ほうっ・・・と嘆息の息を漏らす


「流石に疲れましたね」


女性は手を使って両肩を軽くトントンと叩くと自分以外誰もいないはずの部屋

その一角に向かってこう言い放った。


「・・・・・そろそろ気付かないフリをするのも疲れるので出てきてくれませんか?」


するととある一角の風景がぐにゃりと歪み一人の人物を吐き出した。


「気付いておったか・・・・」


その人物は顎から生えている長い髭を撫でながら女性の方へ歩み寄る


「それで何かご用でしょうか?団長」

「いやなに少し気になった事があっての」


団長と呼ばれた老人はホッホッホッ・・・と笑い声をあげながら備え付けのソファーに身を沈めた


「気になること・・・・ですか?」


その言葉に女性は会話の間片づけていた書類の手を止める


「さよう・・・・例のジュライシティ住人消失事件の事じゃ」


ジュライシティ住人消失事件

文字通り住人が消えた事件

後にはおびただしい血液が残されており

既に人員を派遣したはずだが・・・・

女性はそう思いながらも老人に語る


「・・・・その件でしたら既に報告をしておいたはずですが?」

「報告は聞いた。だが派遣される人員については聞いておらんでの」


女性は無言のままデスクの引き出しを開け資料を引っ張り出す


「・・・派遣された人員は一般団員20名に聖騎士2名です」

「・・・・聖騎士の名は?」

「川澄 舞と如月 真宵です」


老人は表情を少し陰らせる


「・・・・・どうかなさいましたか?」

「・・・・いや。果たしてその人員で対処できる問題なのかどうか考えていただけじゃ」

「・・・・戦力面では問題は無いはずです。そう気にすることではないですよ団長」

「杞憂であってほしいがの・・・・」


老人はソファーから立つとおもむろに近くのお茶道具をあさり始めた


「団長!何を!?」

「いかんのう・・・秋子ちゃん。全部紅茶じゃ・・・番茶は無いのかい?」

「!?・・・・公務中でそう言う風に呼ばないでください!」

「いいじゃないの。知らない中じゃあるまいし」

「貴方って人は!」


秋子と呼ばれた女性は頬を紅く染め立ち上がった!





聖騎士団本部の副団長室

とりあえずは平和だった。



















           街道









風が吹いている

爽やかな風だ

暖かくもある

道の脇には花が咲き乱れ

鳥たちは天空を飛び交っていた


「おかしいなぁ・・・・」


旅人が纏うような外套ではなく

どこか気品が漂ってくる外套

それもそのはず

聖騎士団所属の団員でそれも聖騎士に選ばれた者だけが纏うことを許されている

果てしなき蒼と雪のような純白の色彩に金の刺繍が入った外套

これはそのへんの鎧よりも耐久力に優れ、対魔物戦様に呪的防御も材質が堪えうる限界まで施した珠玉の一品

――を着込んだ二人の少女


  「地図によるとそろそろなんだけど・・・・」


そう言って首を捻る


「もしかして迷った?」


地図を持った少女は多少青ざめながらも首を左右に振る


「いけないいけない・・・・。あきらめちゃだめ!そうだよね!舞!」


と、横を歩いているはずの少女に声をかける





「・・・・・あれ?。居ない?」


またもや首を捻る少女

その時視界の隅っこにあるモノを発見する

どうやらしゃがんでいたせいで視界に入らなかったらしい


「・・・・・で。何をしているのかな?」

「・・・・・うさぎさん」


そう言って抱え込んだ兎を見せる

少女――――舞

舞と呼ばれた少女は抱いている兎を撫でながら微笑する


「・・・・・・解った。うさぎさんはその辺にでも放して置いてとりあえずこっちの話を聞いてくれない?」

「わかった。」

「・・・・ここって何処?」

「・・・・・?」


舞は不思議そうな表情で目の前の少女を見つめる


「真宵が地図持ってたんじゃないの?」


真宵は目を思いっきり彼方へと向けながら一言


「・・・・・人間はね。時として回り道をして無駄なことをしなきゃいけないと私は思う訳なのよ」

「・・・・・つまり迷った?」

「そうとも言うわね・・・・」


真宵は露骨に顔を更にあさっての方向へ向けた


「ふぅ・・・・。方向音痴」


グサッ


「ごめん。舞」

「・・・・昼食一回奢り」

「・・・・はい」


真宵は目から涙が今にもあふれんばかりの声で返事を返す

その時



奴が来た。



彼女達の後方200Mから彼女たちの姿を発見し

すぐさま脳内会議で行動を議決し

己の乙女コスモから言葉を適当に作り

一気にアクセルを踏む



そして



「へい!彼女たち乗ってかない?」


四輪駆動車の操縦席に座った男の第一声がこれだった


「ちょっと祐一君!初対面の人に失礼だよ!」

「何を言うあゆよ。初対面の人には第一印象とその時のあいさつがモノを言うんだぞ?」

「それにしたっていきなりナンパはしないはずだよ!」

「うぐぅ。更にできるようになったなあゆ」

「祐一君との付き合いも長いからね・・・」


   男は後部座席の少女と何か漫才のようなモノをはじめたようだ



蚊帳の外の二人

互いの顔を見合わせ

その後

片方はその漫才を真剣に見始め

もう片方は頭を抱え地面に蹲っていた





これが彼女達が祐一と言う旅人に初めて会った日の出来事であった。



















後書き





一挙一日三話投稿



疲れた。

一時間以上かかった

シリアス寄りなギャグは疲れます・・・・

それと秋子さんがゲームと性格とか口調が違いますがあれは一応上司ですから敬語なのです

それでは次回もお楽しみに

2004/01/18 21:43